社員との個別面談を行って、コミュニケーションを図り、信頼関係を構築していく。
このような取り組みをしている企業さんも多くあるようです。しかし、個別面談も「意識」と「やり方」を間違えると、経営陣や管理職の独りよがりになってしまいます。そして、その独りよがりも、誰も進言してくれないので、経営陣・管理職も気が付かないということも。
せっかくの取り組みも、意識とやり方を間違えると、効果が薄れてしまいます。
そこで、意識とやり方について、私が考えることを。
ここでお話しすることは、学生さんとのコミュニケーションやアンケート、面接指導を通じて考えたことが中心となります。したがって、平成生まれの社員さんとの面談では特に気を付けておいても良いのかなと思うものです。
まずは、「一方通行」にならないこと。
経営陣・管理職が演説するかのように時間が過ぎていくという個別面談。これはダメです。例えば、30分の面談の時間で20分近く経営陣の想いを述べていく。気が付いたら制限時間残り5分で、「君が思っていることを教えて欲しい」と手を広げていっても「無駄」です。
社員さんは、ほぼ聞いていません。だいたい、経営陣・管理職が頑張っていることや、美辞麗句を並べての演説となりがちだからです。理念が浸透しないと嘆く前に、一方的に演説していないか?ということを見直してみると良いかもしれません(朝礼で理念を唱和した後に、経営者が長々とあいさつするとかも含めて)。
一方通行にならないことは、「うん、うん、そうだ」と意識されている方も多いと思います。
次に、「社員はぶっちゃけて話せない」ということ。
社員は対等、社員の本音を聞いてという方も多くいます。その理想は否定しませんが、それはあなたの理想。社員は対等だとは思っていないし、本音についても誰にでも話すということではありません(あなたが本音を誰にでも話さないのと同じです)。
「対等ではない」というところから、個別面談では向き合うことです。「対等」という美辞麗句によって、現実を見失ってしまわないように。そもそも、対等ではないため、各種法令により「対等」にしようとしているわけですから(それでも、対等ではないのです。この辺りの議論は、哲学・価値観に踏み込むことになるので、この辺で。)。
ぶっちゃけて話せないということを前提で向き合うにはどうしたらいいのか?ということが、個別面談での一つの課題になってきますね。
また、ここで一つの疑問です。
「ぶっちゃけて話す」ということのテーマです。社長が「何でもいいよ、話して欲しい」というのは、これは何を話していいのかが分からなくなります。また、ぶっちゃけるというのが「プライベート」の話に及ぶようなことは、特に若い社員ほど話さないでしょう(仕事とプライベートは分けたい)。
つまり、「なんでも話してくれる=本音で話す」ではない。
対等ではないこと、本音で話さないことを踏まえて、個別面談を行うということ。経営者の演説にもならないようにしないといけない。「じゃあ、どうするんだよ!」ということになりそうです。
どうするかと言えば、「具体的に聞く」「質問の意図を明かす」ということをしてみると良いでしょう。質問の意図を明かすというのは、経営陣の手の内を明かすということ。手の内を明かすということは、経営者・管理者が「心の中で考えて計画していること」を伝えるということです。
心の中で考え計画していることを、社員に伝えることができるか?「社員が言うことを聞かないから、個別面談をして、理念を浸透させていこう」などという理由で個別面談をしていたならば?手の内を明かすことはできませんね。
社長さんと話をしていると、社員さんを自分の思うように動かしたいという気持ちが、うっすらと見え隠れしていることがあります。残念ながら、そのようなことはできませんし、特に若い世代に嫌われます。働くという意識が変わっているからです。
おっと、話がそれそうなので、軌道修正します。
個別面談をする上で、質問の意図を明かすということは「心の中で考え計画していること」ということを、社員さんにも公言できる内容でなければならないということです。そして、この計画していることに対して、具体的な質問を投げかけてみるのです。
例えば・・・・悪い例は
社長「何でもいいから、改善したいところを、本音で教えて」
社員「特に大きな不満もないので何もありません」
逆に・・・・
面談者 「事務作業を進めていく上で、コピー機とかパソコンの動作で気になることありますか?もしくは、こんなクラウドサービスがあったらいいなとかも」
社員 「コピーについては特に問題はないと思うのですけど、うちの部署でもっと効率的に情報共有できる仕組みがあったらいいかもしれないです」
面談者 「なるほど。作業効率が上がっていけば、精神的にも楽になりますよね。時短にもなれば、『生産性を上げて、余白の時間を作れますよね』。そうすることができると、これからは~な展開ができていいですね」
といった感じ。
ここでのポイントは、「会社のため」ということだけではなく、「働く環境を良くする」=社員のプラスにもなるということをきちんと示してあげることです。会社のためは社員のためでしょうという図式は成り立つ部分もありますが、会社のためというと社畜になれと誤解されるリスクがありますので。
職場のインフラ的なことを例に挙げましたが、社員の気持ちに対して向き合うというこについては「カウンセラー」のようになることです。
「カウンセラー」は「話を聞き、そして解決策を一緒に向き合って考える」という姿勢ですよね。話を聞くというときも、先の例と同じように具体的に、手の内を明かしながらという意識で。
少し長くなってきたので・・・個別面談でのカウンセラーのようにというテーマはまた後日。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。