日本でのチームワークを伝える~ベトナム人向け研修

外国人採用
目次

はじめに

外国人を採用する。採用段階で不安、不明な点も多くあるかもしれませんね。いわゆる就労ビザの仕組みが、採用する企業の考えと制度設計が異なっていたりするので、不満も出てきてしまいます。

採用を検討している段階の経営者さんには、採用段階だけではなく、「採用後」についてもイメージを持っていてほしいと思います。その中でも、「チームワーク」という点については、外国籍の方と日本で教育を受けてきた人と違いがあります。

採用後の仕事の仕方について、個々の仕事への取り組み方は熱心で真面目という評価にはなれど、「チームワークに不安が」という悩みが生じることが多いようです。

今回は、そんなチームワークに不安があるという会社さん(製造業)で実施した研修についてお話します。

題材を何にするか?

ヒアリングで研修の目的をはっきりと

研修の対象となるのは、主にベトナム人(現地の工場で働く方も)。大学でお話しするような組織論をお話しするというわけにもいかなそうです。おそらく、理論的なお話になり、身近に感じずに寝てしまうであろうことと、通訳の難しさもあるかと想像してです。

ここで、私が一方通行で題材を決めるということはせずに、経営陣からお話を伺い、チームワークでも具体的にどういった事案で頭を悩ませているのか?ということを明確にしていきました。

「自己主張」が強い(日本人と比較して)ということが一番の悩みどころということでした。

自己主張が強いということは、決して悪いことばかりではないけれども、チームで「ものをつくる」という意識を持ってもらいたいというのが研修を行う趣旨です。製品は一人で作るもんじゃない!ということですね。

チームで製品づくりに向けて

チームで製品を作るということに対して、私が考えたこと。その一つは「スポーツ」に例えること。一つの成果に向けて、それぞれのポジション(役割)があり、その役割を果たしていくことと同じということです。

ただ、ここでは一つの問題が。どのスポーツを例に出すのか?ということ。日本人向けであれば、サッカーであったり、野球、バスケ、バレーいったチームスポーツを経験しているか、テレビなどでも見ているでしょう。しかし、ベトナムでは?というと・・・どうなんでしょうと。

加えて、企業さんからの希望で「日本のものづくり」ということも伝えていきたいとのこと。いわゆる「日本らしい」仕組みについても伝えてほしいとのこと。

そこで浮かんだことが「武士道」と「手」の話です。

武士道については、ベトナムでも関心が高く、人気があるとの情報もあり(国の補助事業としての開催で、その審査の際に、ベトナムでの武士道人気もあるねとの意見が出ていたそうです)。また、手については、聴く側も手を使って過ごしているわけですから、例えとして分かりやすい・イメージしやすいだろうと。

題材は武士道と手に決定

役員との打ち合わせから、研修の目的を深堀して検討していき、一番優先したいことについて、私と共通認識を持つようにしました。その中で決まった「武士道」と「手」のお話。

題材について提案していると、「日本人向けでもその題材だったらありだし、聴かせたい」というように。当初は、ベトナム人向けでしたが、日本人スタッフも含めてその研修に参加ということになってきます。

ここで気が付くのですが、外国人スタッフと日本人スタッフ。実際には、社員教育という点では区別はないのかもしれません。

研修をはじめると

聴く姿勢は共通

今回は、ベトナムと日本で同時開催の一斉研修というスタイルです。リモートで繋いでベトナムに配信。日本のスタッフは、リアル参加となりました。

ベトナムでも日本でも、聴く姿勢は共通。一斉研修では、真面目に耳を傾ける人もいれば、ボーっとしている人もいる。ボーっとしてしまうのは、私の話力が足りないから・・・とも反省はあるのですが、経営陣からするとその様子を見ておくということもしています。それぞれが熱心か、それとも無関心か?スタッフそれぞれの姿勢を見ているのですね。

研修中の姿勢から、その人のポジションやキャリア設計を考えていくということもできるわけです。それに対して、次は何をしていく?という循環が生まれると良いかなと思っています。

チームワークへの意識だけではない

今回の研修では、チームワークへの意識ということが、当初の目的です。しかし、研修ではそれ以外の効果も得られています。

スタッフの仕事に対する姿勢を見るということです。この姿勢を見ることで、社内での気が付かなかった問題点や、何となく感じていたことがはっきりしてきたりということもあります。また、姿勢を見ることで、その人の良さにも気が付いたりするようです。

休憩時間中に、質問をしてきた人もいました。そういった積極的な姿勢については、経営陣も、「え?そうなの?」というスタッフの意外な一面も見つけることができるようです。

おわりに

チームワークへの不安。外国人スタッフさんと日本人スタッフの考え方の違い。

確かに、それはあるかと思います。しかし、研修を実施してみると、溝はマリアナ海溝のように深いものではなく、ちょっとした視点を共有することで、その溝が埋まり始めたりします。

そして、その溝が埋まり始めると、チームワークへの意識も生まれてくるでしょう。

この点は、日本人も外国人も同じということです。あまり特別なことと考えずに、スタッフと向き合うということが何よりも大切なことかもしれません。

向き合うということは、研修を通じて、経営陣がスタッフの良さで気がつかなかったことなども見えてきます。

意識の向上とその人を知るという機会として研修をとらえてみると、外国人スタッフへの不安感も消えてくるのではないかなと思います。そして、そこから「チームワーク」がより良いものに変化してくると思います。

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